特集 多発性骨髄腫の臨床 ~現状と展望~
6.骨髄腫治療の将来展望 ~治癒は可能か~
鈴木憲史
1
,
植田有美
2
Kenshi Suzuki
1
,
Arimi Ueda
2
1日本赤十字社医療センター 骨髄腫・アミロイドーシスセンター センター長
2日本赤十字社医療センター 骨髄腫・アミロイドーシスセンター/慶應義塾大学大学院 薬学研究科 薬剤学講座
pp.85-94
発行日 2016年12月30日
Published Date 2016/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201701085
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この10年で,多発性骨髄腫(MM)の治療は大きく変化した。新たなプロテアソーム阻害剤や免疫調節薬,抗体薬などの新規薬剤の試験が進行しており,目覚ましく進化している領域である。治療効果判定法にも変化が生じ,stringent CRは通過点であり,stringent CRよりさらに深いレベルまで骨髄腫細胞を減らした微小残存病変(MRD)陰性の状態を目指した治療を検討する時代に至った。MRD測定法としてはMFC・ASO RQ-PCR・NGSなどがあるが,骨髄腫病巣の不均一性から,全身MRIやPET-CT等の画像も含めた総合診断が必要である。特に若年者では開発中の薬剤を上手に組み合わせた併用療法を行うことでMRD陰性を目指し,MMを“延命”から“治癒”へと変えていくことが目標となる。