特集 血液疾患の真菌感染症
序 ~診断基準の確立と治療戦略~
吉田稔
1
Minoru Yoshida
1
1帝京大学医学部附属溝口病院 第4内科学講座 教授
pp.1643-1647
発行日 2016年11月30日
Published Date 2016/11/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201612017
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血液疾患の真菌感染症は,急性白血病の化学療法や造血幹細胞移植に合併する重篤な感染症である。従来は確定診断が困難で,予後も不良であったが,EORTC/MSGの診断基準が普及し,内外で診断・治療ガイドラインも整備されてきた。治療戦略では血液疾患の場合,診断確定後の標的治療の他に,予防と経験的治療を含む早期治療が重要である。代表的な菌種はカンジダとアスペルギルスで,これらについてはキャンディン系薬とボリコナゾールが第1選択であるが,近年はトリコスポロン,ムーコル,フサリウムなども増加傾向があり,注意が必要である。