発行日 2016年9月30日
Published Date 2016/9/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201610063
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Liquid Biopsyは,内視鏡や針を使って腫瘍組織を採取する従来の生検(biopsy)に代えて,血液などの体液サンプルを使って診断や治療効果予測を行う技術である。さらにLiquid Biopsyによるがんの診断は低侵襲でかつ複数回の診断が可能で,がんの不均一性(Heterogeneity)を克服する検査法として期待されている。近年,世界中で研究開発が進められ,ついにLiquid Biopsyによるゲノム診断が現実となってきた。2016年6月に米国ではFDAが,非小細胞肺がんにおいて,上皮成長因子受容体(EGFR)変異に対して血液を用いた遺伝子診断を認可した。 Liquid Biopsyでがんを診断し,治療標的を探索するというゲノム医療は理想的ではあるが,その社会実装には未だハードルは高い。しかし,ゲノム解析技術の集成とも言えるこのテクノロジーが,がん患者において恩恵を被ることは疑う余地はなく,今後の発展が期待されている。