特集 慢性骨髄性白血病の治療戦略2016
3.チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の長期投与の安全性
薄井紀子
1
Noriko Usui
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院 輸血部 教授・診療部長
pp.1097-1104
発行日 2016年7月30日
Published Date 2016/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201608043
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慢性骨髄性白血病(CML)の治療にBCR-ABL チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が臨床導入され,10年以上が経過した。これらTKI治療でCMLは長期に管理可能な白血病となったが,TKI長期投与による重大な遅発性副作用も報告されてきた。イマチニブ長期投与では,腎機能が低下し,5~7%の頻度で慢性腎不全を認める。ダサチニブ治療では胸水貯留が毎年8~9%の頻度で発症し,長期投与になると肺動脈高血圧症の発症にも関与してくる。ニロチニブの長期投与では,血管障害が認められ,心筋梗塞や脳血管障害などの重篤な副作用のほか,末梢動脈閉塞性疾患が10%を超える頻度で認められる。国内外の情報を踏まえて,これら長期投与の遅発性副作用について検討を加えた。