シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編
Srcチロシンキナーゼ
松田 覚
1
,
宮崎 耕
1
,
浜口 道成
1
Satoru MATSUDA
1
,
Kou MIYAZAKI
1
,
Michinari HAMAGUCHI
1
1名古屋大学医学部附属病態制御研究施設分子病態研究部門
キーワード:
チロシンキナーゼ
,
チロシンリン酸化
,
SH2
,
SH3
Keyword:
チロシンキナーゼ
,
チロシンリン酸化
,
SH2
,
SH3
pp.75-80
発行日 1999年1月15日
Published Date 1999/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903986
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
レトロウイルスの研究から,強い発癌性を示すラウス肉腫ウイルスが細胞癌化の形質維持に働く遺伝子を持っていることが明らかとなり,特定の遺伝子によって細胞癌化が起こりうることが明確になった.最初に同定されたラウス肉腫ウイルスの発癌遺伝子は,現在v-srcと呼ばれている.その後の研究の展開により,v-srcに対応する遺伝子が正常細胞の中にも見いだされc-srcと呼ばれるようになった.
srcは分子量約60kDaのチロシンリン酸化される蛋白質をコードしているが,この遺伝子産物Src自体にも標的蛋白質をチロシンリン酸化する活性を持つことが明らかにされている.さらに,同様な活性を持ついわゆるチロシンキナーゼが続々と発見されてきたが,それらはいずれも細胞内の情報伝達に深く関与していることが示されてきている.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.