特集 静脈血栓塞栓症2016 ~わが国の最新の情報から~
5.先天性血栓性素因による静脈血栓塞栓症(特発性血栓症)
津田博子
1
Hiroko Tsuda
1
1中村学園大学大学院 栄養科学研究科 教授
pp.355-361
発行日 2016年2月29日
Published Date 2016/2/29
DOI https://doi.org/10.20837/5201603051
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先天性血栓性素因は静脈血栓塞栓症の先天性誘発因子であり,先天性アンチトロンビン欠乏症,先天性プロテインC欠乏症,先天性プロテインS欠乏症などが含まれる。日本人では先天性プロテインS欠乏症の頻度が高いが,その要因として日本人特有のPS遺伝子多型であるPS Tokushimaの存在が示唆される。先天性血栓性素因を背景として発症した静脈血栓塞栓症(特発性血栓症)は,若年発症で再発・再燃を繰り返しやすいことから,長期の療養を要することが多い。そこで,標準化された診断基準を確立し,難病として医療費助成の対象となることが望まれる。