特集 静脈血栓塞栓症2016 ~わが国の最新の情報から~
6.静脈血栓塞栓症に対する新しい抗凝固療法
中村真潮
1
Mashio Nakamura
1
1三重大学大学院 医学系研究科 循環器・腎臓内科学 客員教授 村瀬病院 副院長/肺塞栓・静脈血栓センター長
pp.363-373
発行日 2016年2月29日
Published Date 2016/2/29
DOI https://doi.org/10.20837/5201603059
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静脈血栓塞栓症(VTE)の治療の第一選択は抗凝固療法であり,従来から日本では未分画ヘパリンとワルファリンが使用されてきた。いずれも調節に難渋するため,VTE再発が少なくなかった。近年,非経口a阻害薬ならびに非ビタミンK阻害型経口抗凝固薬(NOAC)/直接経口抗凝固薬(DOAC)が,日本でもVTEに使用できるようになった。有効性や安全性でより有用性が高いと考えられ,unprovoked VTEなどで,より長期間の再発予防を可能にする。また,発症初期からのNOAC/DOACのみによる治療,ならびに入院期間の短縮や外来治療を可能とする。一方で,脆弱な患者への投与法など,解決すべき課題もある。