特集 静脈血栓塞栓症2016~わが国の最新の情報から~
3.ピル服用に合併する静脈血栓塞栓症の実態
杉浦和子
1
,
小林隆夫
2
Kazuko Sugiura
1
,
Takao Kobayashi
2
1名古屋市立大学大学院 看護学研究科 講師
2浜松医療センター 院長
pp.339-347
発行日 2016年2月29日
Published Date 2016/2/29
DOI https://doi.org/10.20837/5201603035
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われわれは独立行政法人医薬品医療機器総合機構の医薬品の副作用に関するデータベースを用いて,2004年4月以降2013年12月までに報告された経口避妊薬(OC)使用に関連した静脈血栓塞栓症(VTE)および動脈血栓塞栓症(ATE)の実態を調査した。10年間に581件が報告され,VTE394件,ATE154件,部位不明の血栓症33件で,推定発症頻度は欧米人よりわずかに低い程度であった。服用期間別の発症数では,服用開始90日までが最も発症頻度が高かった。月経困難症治療薬3剤の使用者における年齢階層別の推定発症頻度においては,40歳代以降で急激に増加する傾向がみられた。BMI別VTEリスクでは,BMI標準体重群を基準とした肥満群(BMI>_25)リスクは2倍以上であった。死亡率は極めて低かったが,日本人でも欧米人と同様な傾向であることが判明した。