別冊秋号 周術期管理
PART3 周術期のリスク評価と検査項目
31 静脈血栓塞栓症
堀田 訓久
1
1自治医科大学 麻酔科学・集中治療医学講座
pp.199-204
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200172
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深部静脈血栓症deep vein thrombosis(DVT)は,下肢・骨盤内に生じることが多い。急性期のDVTは,腫脹,痛み,色調変化などをきたすが,慢性期には自覚症状がないことも多く,診断されていないケースも少なくないとされる。深部静脈の血栓が遊離して肺動脈を閉塞すると,肺血栓塞栓症pulmonary thromboembolism(PTE)を発症し,致死的な経過をたどることもある。DVTとPTEは一連の病態であり,合わせて静脈血栓塞栓症venous thromboembolism(VTE)と呼ばれる。
2004年にVTEの予防ガイドライン1)が発行されて,すでに16年が経過した。手術患者に対する予防対策は広く普及しているが,それでも周術期にPTEを発症し,命を落とす患者は存在する。手術で入院した患者に,ルーチンで弾性ストッキングやフットポンプを使用しただけでは,高リスク患者の予防対策としては十分とはいえない。また,弾性ストッキングやフットポンプの使用は,その患者にとってデメリットになっていないだろうか。
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