特集 静脈血栓塞栓症2016~わが国の最新の情報から~
1.近年のわが国の静脈血栓症の疫学
太田覚史
1
Satoshi Ota
1
1鈴鹿中央総合病院 循環器内科 医長
pp.325-329
発行日 2016年2月29日
Published Date 2016/2/29
DOI https://doi.org/10.20837/5201603021
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肺血栓塞栓症の診断数は経年的に増加してきており,2011年の調査では肺血栓塞栓症は年間10万人あたり12.6人,深部静脈血栓症は19.2人であった。診断されるものの約半数は血行動態が安定した肺血栓塞栓症ないし下腿に血栓が限局した深部静脈血栓症であり,背景に高リスク症例におけるスクリーニング検査が一般化してきたことが考えられる。治療は抗凝固療法が変わらず高率に施行される一方で,血栓溶解療法や下大静脈フィルターの使用頻度が低下してきており,そのマネージメントもエビデンスの蓄積によって変化してきていると思われる。