特集 ノロウイルス―ウイルス性下痢症
ノロウイルス感染症
2.近年のノロウイルス感染症の疫学的特徴
野田 衛
1
1国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第四室
pp.977-980
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101201
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
2004年末から2005年1月にかけて発生した広島県福山市の高齢者施設での死亡例を伴う胃腸炎集団感染事例の報道を契機に,ノロウイルス(以下,NV)の名前は広く国民に知られることになった.そのNVが,2006年末,かつてない規模で猛威を振るい,多くの集団感染や食中毒を引き起こし,再び大きな注目を浴びた.これらに代表されるように,近年のNVの集団感染症や食中毒の発生状況を見ると,保育園や小学校など子どもの施設が主体であった集団感染が,高齢者施設や病院などで発生したり,カキの喫食が主流であった食中毒に替わり,食品取扱者からの食品汚染による事例が増加するなど,従来とは異なる様相を呈している.
本稿では,近年のNVの流行や集団感染・食中毒の疫学的特徴を,学問的,社会的背景を含め概観する.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.