特集 妊娠・分娩と血液異常
2.習慣流産と自己免疫 ~抗リン脂質抗体症候群~
杉浦真弓
1
,
尾崎康彦
2
,
片野衣江
3
,
北折珠央
4
Mayumi Sugiura
1
,
Yasuhiko Ozaki
2
,
Kinue Katano
3
,
Tamao Kitaori
4
1名古屋市立大学大学院 医学研究科 産科婦人科 不育症研究センター(文部科学省共同利用・共同研究拠点) 教授
2名古屋市立大学大学院 医学研究科 産科婦人科 不育症研究センター(文部科学省共同利用・共同研究拠点) 准教授
3名古屋市立大学大学院 医学研究科 産科婦人科 不育症研究センター(文部科学省共同利用・共同研究拠点) 講師
4名古屋市立大学大学院 医学研究科 産科婦人科 不育症研究センター(文部科学省共同利用・共同研究拠点) 助教
pp.1433-1440
発行日 2015年9月30日
Published Date 2015/9/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201510031
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習慣流産において,12週間後に持続する抗リン脂質抗体症候群(APS)は5%未満の頻度である。測定にはリン脂質中和法と希釈ラッセル蛇毒法によるLupus anticoagulantが最も重要である。国際学会の診断基準にある(β2glycoprotein I 依存性)抗カルジオリピン抗体の産科的有用性は,否定的な報告も散見される。妊娠中の低用量アスピリンと未分画ヘパリンにより,流死産が予防できる。複数あるいは高抗体価の“本物のAPS”には,若年性脳梗塞など妊娠後の血栓症にも注意が必要である。