今月の主題 膠原病—活動性の評価と治療の選択
膠原病関連のトピックス
抗リン脂質抗体症候群
小池 隆夫
1
1千葉大学医学部・第2内科
pp.2282-2283
発行日 1990年11月10日
Published Date 1990/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900597
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●抗リン脂質抗体症候群の概念
昔から全身性エリテマトーデス(SLEと略)患者の一部に梅毒反応の生物学的偽陽性が認められることが知られていた.そのような患者には,しぼしば個々の凝固因子の活性を抑制することなしに,リン脂質依存性の凝固検査を種々の程度に阻害する免疫グロブリン—いわゆるループスアンチコアグラントが認められ,さらにはカルジオリピンに対する抗体の存在も明らかにされた.
これらの自己抗体は,抗リン脂質抗体と総称されるが,最近,SLEを中心にある種の臨床症状(血栓症,神経症状,習慣流産,血小板減少など)の出現と抗リン脂質抗体(とくにループスアンチコアグラントと抗カルジオリピン抗体)の存在が注目され,このような病態を「抗リン脂質抗体症候群(Antiphospholipid Syndrome)」と呼ぶことが提唱された1).
本症候群は,SLEに代表される膠原病にもっとも多く認められるが,必ずしもSLEの診断基準を満足しないものから,原因不明の肺高血圧症,若年発症の心筋梗塞,習慣流産患者まで多岐にわたっている2).
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