特集 妊娠・分娩と血液異常
1.妊娠維持機構と凝固線溶系
小林隆夫
1
Takao Kobayashi
1
1浜松医療センター 院長
pp.1425-1432
発行日 2015年9月30日
Published Date 2015/9/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201510023
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
着床および子宮と胎盤の接着には,血液凝固線溶系因子が関与していることは明らかである。われわれはその天与のモデルとして,先天性無フィブリノゲン血症,先天性 X III 因子欠損症患者の臨床経験,およびそれらの欠損マウスの妊娠を通じて妊娠の維持機構の一端を解明した。着床部位においてはフィブリノゲンを中心に, X III 因子,フィブロネクチン,ラミニンなど各種の接着蛋白が密接に関連し,正常なNitabuch層(フィブリノイド層)を形成するとともに,持続的にその形成が強化されることが妊娠の維持にとって重要である。したがって,これらの因子の欠損患者は補充療法なしでは習慣流産,不育症となる。