特集 補体のすべて ~機能から病態まで~
1.疾患から見た補体の活性化と制御
宮田敏行
1
,
瀬谷司
2
Toshiyuki Miyata
1
,
Tsukasa Seya
2
1国立循環器病研究センター 脳血管内科 シニア研究員
2北海道大学大学院 医学研究科 免疫学分野 教授
pp.1259-1268
発行日 2015年8月30日
Published Date 2015/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201509023
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補体の活性化は,炎症と全身のシステム応答に伴う生体防御を背景として起きている。補体C3はチオエステル結合を許す膜上に結合し,異物細胞は標的化される。健常の自己細胞は自己補体の標的を免れる。これは補体制御因子の働きによる。補体の関わる炎症は制御因子の機能不全で増悪する。希少疾患のゲノム解析から,病因不明の疾患が補体と制御因子の遺伝子SNP,変異と連動して発症することが理解されてきた。病態には凝固系,免疫系はもちろん,細胞のexosome応答,RNAによる転写後調節などが複雑に絡む可能性がある。がん,感染症の微小環境と老化に伴う炎症も,補体系を含めた全身応答から見直す必要がある。