特集 遺伝的素因による血栓症
4.遺伝子多型を用いた血栓症治療薬の個別化医療
山本康次郎
1
Koujirou Yamamoto
1
1群馬大学大学院 医学系研究科 臨床薬理学分野 教授
pp.45-50
発行日 2014年12月30日
Published Date 2014/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201501045
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ワルファリンは抗凝固療法に必須の薬剤であるが,適正投与量の個人差が大きく,頻繁に血液凝固能をモニターしながら用量を調節する必要がある。遺伝的因子を考慮して初回投与量を設定することにより,個々の患者に最適な維持量を決定するまでの期間を短縮することが可能であり,出血のリスクも低減できる。特に重要な遺伝的因子は,ビタミンKエポキシド還元酵素(VKOR)とチトクロームP450(CYP)2C9の遺伝子変異であり,これらの遺伝子型に基づいた用量設定が推奨されている。ビタミンKの代謝酵素であるCYP4F2の遺伝子変異も若干の寄与が認められる。