特集 遺伝的素因による血栓症
5.先天性血栓性血小板減少性紫斑病
小亀浩市
1
Koichi Kokame
1
1国立循環器病研究センター 分子病態部 室長
pp.51-57
発行日 2014年12月30日
Published Date 2014/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201501051
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血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,血小板減少と溶血性貧血を主徴候とする難治性疾患であり,血漿ADAMTS13の活性著減が原因で起こる。TTPの多くは,抗ADAMTS13自己抗体(インヒビター)の出現に伴う後天性TTPであるが,稀にADAMTS13遺伝子異常による先天性TTP患者が見つかる。先天性TTPはADAMTS13活性10%未満かつインヒビター陰性を指標とし,遺伝子解析によって変異が特定される。本稿では,先天性TTPの診断アルゴリズム,発症機序,ADAMTS13の構造と機能,遺伝子多様性などを紹介する。