特集 遺伝的素因による血栓症
3.血栓性素因保有者の血栓症予防と治療
中村真潮
1
Mashio Nakamura
1
1三重大学大学院 循環器・腎臓内科学 客員教授/村瀬病院 副院長/肺塞栓症・静脈血栓センター長
pp.37-43
発行日 2014年12月30日
Published Date 2014/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201501037
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無症候性の血栓性素因保有者の,長期にわたる静脈血栓塞栓症(VTE)の予防措置は推奨されていない。プロテインC,アンチトロンビンの欠損の保有者や,プロテインS K196E変異のホモ接合体の保有者に生じたVTEでは,より長期の抗凝固療法を検討する。unprovoked VTEでも同様に考える。プロテインS K196E変異のヘテロ接合体の保有者に生じたVTEでは,他のVTEリスク因子が存在しなければ,それほど強い再発因子にはならない。ワルファリンよりも安全であることが証明されている新規経口抗凝固薬が使用できるようになり,血栓性素因保有者でより長期の抗凝固薬が推奨されていく可能性が高い。