特集 血液疾患とクローン性
3.造血器腫瘍のクローン性進展 2)低悪性度リンパ腫の形質転換とクローン性進展
錦織桃子
1
Momoko Nishikori
1
1京都大学大学院 医学研究科 血液・腫瘍内科学
pp.889-894
発行日 2014年5月30日
Published Date 2014/5/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201406093
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濾胞性リンパ腫をはじめとする低悪性度リンパ腫において,形質転換はその後の臨床経過を変える予後不良の病態である。濾胞性リンパ腫ではクローン内に遺伝子多様性が存在することが知られてきたが,形質転換に至る分子メカニズムについては不明の部分が大きかった。近年の網羅的遺伝子解析技術により,濾胞性リンパ腫細胞は従来考えられていたよりも複雑に分岐しクローン進展することが判明し,形質転換の遺伝子学的背景についても明らかにされつつある。これらの研究は将来的に低悪性度リンパ腫の臨床にも重要な情報をもたらす可能性がある。