特集 血液疾患とクローン性
2.クローン性造血異常 1)不応性貧血と再生不良性貧血の境界領域
石山謙
1
Ken Ishiyama
1
1東京都立大塚病院 輸血科(血液内科) 医長
pp.841-848
発行日 2014年5月30日
Published Date 2014/5/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201406045
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骨髄異形成症候群(MDS)の一病型である不応性貧血と再生不良性貧血(AA)は,どちらも血球減少を来す「骨髄不全症」である。両者の発症機序は異なると考えられているが,臨床的な鑑別は困難なことがある。これらの「骨髄不全症」2疾患におけるクローン性造血について顧みると,MDSはもちろんのこと,AAにおいてもクローン性造血を示唆する所見が検出されることは珍しくないことから,「クローン性造血」を根拠とした両者の鑑別は困難と考えられる。しかし,病態を反映したクローン性造血の所見は,臨床現場における治療の選択の助けとなり,予後予測につながることもあるため,病態の適切な把握と治療選択が重要である。