特集 血液疾患とクローン性
序 ~クローン性造血の病的意義:PNHからのレッスン~
中尾眞二
1
Shinji Nakao
1
1金沢大学 医薬保健研究域医学系 細胞移植学(血液・呼吸器内科)教授
pp.813-819
発行日 2014年5月30日
Published Date 2014/5/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201406017
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ある細胞集団がクローン性であることは,その集団が腫瘍由来であることの証拠として捉えられてきた。一方,ゲノム解析技術の進歩により,これまでは多クローン性と考えられていた一見正常の血液細胞集団が,実は特定の変異マーカーを持つクローン性集団であることが明らかになり,クローン性細胞集団=腫瘍という考え方に疑問が投げかけられている。一つの例として,発作性夜間ヘモグロビン尿症でみられるPIGA変異幹細胞の動態解析の結果,クローン性造血は必ずしも病的幹細胞の異常増殖によるものではないことが明らかになってきた。