特集1 好酸球増加症
6.好酸球と皮膚疾患
水谷仁
1
Hitoshi Mizutani
1
1三重大学大学院 医学系研究科 臨床医学系講座 皮膚科学 教授
pp.381-388
発行日 2014年2月28日
Published Date 2014/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201403065
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皮膚は生体防御にあたり好酸球と協同して,昆虫,寄生虫,侵襲性化学物質などの外来物質の侵襲排除に協同して働くが,過剰な好酸球は皮膚・皮下組織の障害を起こす。末梢血・皮膚内に好酸球の増加をみる疾患は多く,日常的な湿疹・皮膚炎,薬疹,腫瘍や全身疾患まで多様である。好酸球の活性化と皮膚疾患の連鎖は,表皮細胞の障害によるサイトカイン放出と自然免疫,獲得免疫系の血球系細胞との相互作用によることが明らかになりつつある。また,重症薬疹や腫瘍化など生理的制御を逸脱した好酸球は,皮膚や全身的な臓器障害を引き起こす。好酸球増多皮膚疾患はおおむねステロイドへの反応が良いが,治療に抵抗する腫瘍性疾患では分子標的薬が,難治性の炎症性疾患では生物製剤などの有効性が期待され,今後の疾患治療のカギとなると思われる。