特集 造血器腫瘍のゲノム解析
序 ~大規模ゲノミクスが明らかにする造血器腫瘍の遺伝学的基盤~
小川誠司
1
Seishi Ogawa
1
1京都大学大学院 医学研究科 腫瘍生物学講座 教授
pp.17-18
発行日 2013年12月30日
Published Date 2013/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201401017
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がんが細胞のゲノムに生じた異常によって生ずるという理解が確立されて以来,大変な労力と時間を使って,その責任遺伝子変異の同定と解析が進められてきた。決定的な革新をもたらしたのは,2000年代半ばに開発された大量並列シーケンス技術の開発である。これにより,腫瘍化に関わる遺伝子変異の同定のみならず,遺伝子変異の起源とクローン進化の密接な関係についても新たな理解がもたらされた。ゲノムシーケンスによる癌の分子病態の解析は急速に進歩を遂げている分野であり,本企画が読者の本分野の理解の一助となれば幸いである。