Topics 「身近な話題・世界の話題」(117)
Scott症候群の分子基盤
小島寛
1
Hiroshi Kojima
1
1茨城県立中央病院・腫瘍内科 副院長兼化学療法センター長
pp.1126-1130
発行日 2013年7月30日
Published Date 2013/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52013081126
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活性化血小板表面へのphosphatidylserine(PS)曝露は,血小板による凝固促進において重要な役割を果たす。Scott症候群では,血小板のPS曝露能が低下しているために深部出血を繰り返す。最近の研究で,PS曝露に関与するタンパクTMEM16Fが同定され,Scott症候群では対立遺伝子の両方でTMEM16F遺伝子に変異があることが報告された。実際,TMEM16Fのノックアウト・マウスではScott形質が再現される。しかしながら,PS曝露の分子機構はさらに複雑で,TMEM16Fのみでは説明できないことも明らかになりつつあり,今後の研究の発展が期待される。