連載 実は日本生まれの発見・12
アディポネクチン―内臓脂肪症候群のキー分子
船橋 徹
1
1大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
pp.2101
発行日 2013年12月10日
Published Date 2013/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107242
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アディポネクチンは脂肪細胞から分泌され,ヒト血中に5~30μg/mLという高濃度で存在する血漿蛋白である.抗動脈硬化,抗糖尿病,抗炎症作用を有し,脂肪細胞由来分子でありながら,肥満,特に内臓脂肪蓄積時にその血中濃度が低下しており,内臓脂肪症候群,メタボリックシンドロームの分子基盤の一つとして重要と考えられる.
1980年代,当教室(当時の大阪大学第二内科)ではCTスキャンを用いた体脂肪分布を分析することにより,肥満度が軽度であっても腸間膜や大網周囲の内臓脂肪が過剰に蓄積すると,糖代謝・脂質代謝・血圧の異常を合併しやすくなることを解明し,このような動脈硬化易発症状態を内臓脂肪症候群と名付けた.
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