特集 慢性骨髄性白血病(CML)治療 ~残された課題~
1.CML幹細胞の特性
岩﨑浩己
1
Hiromi Iwasaki
1
1九州大学病院 遺伝子・細胞療法部 准教授
pp.169-175
発行日 2013年1月30日
Published Date 2013/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201302169
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幹細胞疾患である慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia:CML)の治癒をもたらすには,bcr-ablキメラ遺伝子を発現する幹細胞クローンを駆逐することが重要である。近年の研究において,CML幹細胞はbcr-ablキナーゼ活性に依存しない生存・自己複製メカニズムを有することが明らかとなり,チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor:TKI)単独の効果は限定的であると考えられている。CML幹細胞の生存と自己複製に関与する分子メカニズムを同定し,それを標的とした治療ストラテジーの開発につなげることで,CMLは治癒可能な疾患となる可能性がある。現在,インターフェロン,Hedgehog阻害薬,Alox5阻害薬などをTKIと併用する臨床試験が進行中であり,CML幹細胞に対する効果が注目される。