特集 慢性骨髄性白血病(CML)治療 ~残された課題~
序 ~CML治療の到達点と今後~
松村到
1
Itaru Matsumura
1
1近畿大学医学部 血液・膠原病内科 主任教授
pp.165-168
発行日 2013年1月30日
Published Date 2013/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201302165
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BCR-ABL阻害薬イマチニブが登場し,慢性期のCML(CML-CP)の治療成績は飛躍的に改善した。また,一部のイマチニブ抵抗性・不耐容例に対して第二世代チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)のニロチニブとダサチニブが開発され,第二世代TKIは初発CML-CPに対しても承認された。これら第二世代TKIが無効なT315I変異を克服するための,第三世代TKIであるポナチニブの開発も進んでいる。一方,CML幹細胞はTKI抵抗性であり,TKIは中止できないとされてきた。しかし,STIM試験の結果から,TKI単独投与でもCML-CPが治癒する可能性が示唆されるようになった。すでにTKI単独あるいは他の薬剤との併用によるCML治癒に向けた研究も進行中である。CML治療はすべての症例で病期進行を回避するのみでなく,長期にわたるQOLの低下や経済的な問題を解決するために治癒に向けた戦略の確立が目指されている。