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骨粗鬆症は,糖尿病などの生活習慣病と同様に多因子疾患として知られる。その発症の成因としては,生活習慣,加齢,遺伝的素因などが成因となる。骨粗鬆症は骨強度が低下することを特徴とする。骨強度は骨密度と骨質により規定される。骨密度はこれまでの分子疫学研究により,骨密度の50%以上は遺伝的素因によって規定されることが想定されている。我々を含む複数のグループは,分子疫学研究の中で関連解析を用いて骨粗鬆症に関連する一塩基置換遺伝子多型(single nucleotide polymorphism:SNP)の探索と同定を行い報告してきた。近年ではDNAチップを用いたゲノムワイド関連解析により分子疫学研究は著しく進歩し,骨密度減少,骨粗鬆症発症ならびに脆弱性骨折に関与するSNPが網羅的に明らかになってきた。これら分子疫学研究により,LRP5をはじめとしたWntシグナル伝達因子が骨粗鬆症の成因に大きく関与することが明らかとなり,本シグナルを標的とした診断,治療への応用が進められている。今後も,ゲノムワイド関連解析など分子疫学研究の進歩により,新たな骨粗鬆症発症の分子機構が明らかとなることが期待される。
Osteoporosis is a common skeletal disease characterized by low bone mineral density(BMD)and microarchitectural deterioration of bone tissue. Osteoporosis increases susceptibility to fracture. Over the last 10 years, genome-wide association studies(GWAS)have identified the single-nucleotide polymorphisms(SNPs)associated with low BMD, osteoporosis and osteoporotic fractures. These SNPs were mapped close to or within the genes, such as Wnt- and RANKL-related genes. In the future, molecular epidemiology of osteoporosis may provide novel candidates for therapeutic targets.