特集 腸内細菌と免疫系の関わり(臨床的な意義)~腸内細菌はどこから来てどこに向かうのか~
Ⅸ.プロバイオティクスの現状と今後の可能性
野本康二
1
Koji Nomoto
1
1東京農業大学生命科学部分子微生物学科動物共生微生物学研究室教授
pp.334-341
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201903334
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「十分量を摂取したときに宿主に有用な作用を及ぼす生きた微生物」と定義されるプロバイオティクスの要件として,その保健作用を裏付けるための的確に実施された臨床試験に基づく科学的証拠の提示や,効果とリンクする作用メカニズムの説明が肝心となってきた。一方で,さまざまなヒト腸内常在性の有用菌におけるあらたなプロバイオティクスとしての可能性を示唆する報告も増加している。消化器,泌尿・生殖器,循環器,精神・神経系など全般的な健康やその障害における腸内菌叢の関与や,プロバイオティクスによる軽減の可能性が示唆されている。新たなプロバイオティクスの研究開発ポイントとして,腸内定着性,宿主との連絡メカニズム,刺激の生菌・死菌の差異などが考えられる。