特集 腸内細菌と免疫系の関わり(臨床的な意義)~腸内細菌はどこから来てどこに向かうのか~
Ⅷ.腸内細菌叢とがん
坂口翔一
1
,
中野隆史
2
Shoichi Sakaguchi
1
,
Takashi Nakano
2
1大阪医科大学・微生物学教室助教
2大阪医科大学・微生物学教室教授
pp.320-332
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201903320
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細菌叢はバリアの維持から,代謝,造血,炎症,免疫の調節など全身の生理機能に影響を与えている。その中で一部の細菌叢は,がんの形成,進行および転移に関与している。また最近になって,がん治療と腸内細菌叢に関係があることが明らかとなり,がんの治療効果の向上や副反応の軽減に有効なプロバイオティクスによる細菌叢の再構築,さらにはバイオマーカーとしての利用について研究が進んでいる。現時点ではその多くが研究段階だが,近い将来,細菌叢を考慮したがん治療がスタンダードになる日が来るだろう。