原著
ヒスタミン刺激したHeLa細胞内Ca2+濃度の変化に対するエピナスチン塩酸塩およびオロパタジン塩酸塩の影響
貞方久人
1
,
福島敦樹
2
Hisato Sadakata
1
,
Atsuki Fukushima
2
1株式会社タイムラプスビジョン
2高知大学医学部眼科学講座
pp.1656-1662
発行日 2017年11月15日
Published Date 2017/11/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201712086
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エピナスチンおよびオロパタジンはアレルギー性結膜炎に汎用されている抗ヒスタミン薬である。今回,HeLa細胞を用いてヒスタミン刺激後の細胞内Ca2+濃度の上昇に対する抑制効果を比較検討した。 HeLa細胞を100μMまたは1mMのヒスタミンで刺激した後,0.1μMまたは1μMの抗ヒスタミン薬で処理した。エピナスチンはいずれの条件でも有意な抑制効果を示した。一方,オロパタジンはヒスタミン100μMで刺激した後,1μMの薬剤を作用させた場合にのみ有意な抑制効果を示した。オロパタジンが1μMの濃度でのみ有意な抑制作用を示したことから,抗ヒスタミン薬の濃度を1μMに固定し,ヒスタミンの濃度を変えて比較した。10μM,100μM,1mMのヒスタミンで刺激した後,1μMの抗ヒスタミン薬を作用させた。エピナスチンはすべてのヒスタミン濃度で有意な抑制作用を示したが,オロパタジンではヒスタミン濃度が高くなるにつれて抑制効果は減弱し,1mMヒスタミンでは有意な抑制作用は認められなかった。 エピナスチンはオロパタジンに比較し,ヒスタミンによるHeLa細胞内Ca2+濃度の上昇を強く抑制した。この結果は,少なくともHeLa細胞を用いた実験系において,オロパタジンと比較しエピナスチンがより強いヒスタミンH1受容体親和性を持つためと考えられた。