特集 職業・環境アレルギーの最前線
Ⅸ.職業性鼻炎の最前線-低分子量物質が与える影響-
扇和弘
1
,
加藤幸宣
1
,
森川太洋
1
,
藤枝重治
2
Kazuhiro Ogi
1
,
Yukinori Kato
1
,
Taiyou Morikawa
1
,
Shigeharu Fujieda
2
1福井大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
2福井大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授
pp.1518-1524
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201711086
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職業性鼻炎の原因物質は高分子量物質と低分子量物質に分けられるが,低分子量物質が炎症を起こす機序については不明なことが多い。低分子量物質であるトリメリット酸無水物(Trimellitic anhydride:TMA)は,職場での曝露により感作が起こり特異的IgEによるアレルギー反応を起こすことがわかっているが,肥満細胞株を用いた実験によってIgEを介することなく直接的に肥満細胞の脱顆粒反応をもたらすことがわかった。またこの反応はCa2+非依存性であり,IgEを介する抗原抗体反応とは異なる経路により誘導されていると考えられた。またマウスを用いた実験によって,TMAは感作が起こっていなくても直接的に鼻炎を起こすことが確認された。