別冊秋号 血圧
7 周術期の低血圧は予後に影響を与えるか
坪川 恒久
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.47-54
発行日 2019年9月14日
Published Date 2019/9/14
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200084
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麻酔科医は,循環動態のコントロールに細心の注意を払って麻酔管理を行っている。血圧,心拍数など,どんな手術でも標準モニターのデータを解釈して,「後負荷の減少による血圧低下だから,輸液により前負荷を増加させ,血管収縮薬の持続投与による後負荷も増加させて対処しよう」というような判断を行い,また,それらの対処による変化をフィードバックしながら循環動態を管理している。体内では肝臓などを除くほとんどの臓器は並列に配置されているため,各臓器にかかる血圧は等しい。また,脳をはじめとする重要臓器には自動調節能autoregulationが存在していて,一定の範囲内では血圧が変化しても血流量は変わらないとされているが,麻酔中にこの効果を実感できることは少ない。現時点では個々の臓器の血流あるいは機能を表示するようなモニターは臨床的に用いられておらず,実際に各臓器にどれくらい血流があるかはわからないため,血圧を中心とした管理が行われているわけである。
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