特集 アレルギー疾患とバリア障害
Ⅸ.結膜・角膜上皮細胞のバリア機構とアレルギー性炎症
海老原伸行
1
Nobuyuki Ebihara
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院眼科教授
pp.778-786
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201706076
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結膜・角膜上皮層は開瞼時には外界に接し多くの飛散抗原にさらされている。結膜・角膜上皮はタイトジャンクションによって結合し,またその表層を涙液が覆っている。涙液中には多様な抗菌物質やムチンが含まれており,眼表面の最大のバリアーである。アレルギー性結膜疾患発症時にはこの上皮層が3つの相でかかわってくる。第一相は抗原プロテアーゼと涙液中のプロテアーゼインヒビターの相剋,第二相は抗原刺激によって産生されるTh2誘導サイトカイン,第三相は角・結膜上皮細胞がネクローシスに陥った時放出されるアラーミン分子の役割である。結・角膜上皮層は単なるバリアーでなく,アレルギー性炎症の増悪・軽減に大きく関与する。