特集 アレルギー疾患とバリア障害
Ⅷ.鼻粘膜バリアとアレルギー
三輪正人
1
Masato Miwa
1
1日本医科大学大学院医学研究科頭頸部感覚器科学臨床教授/順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センター客員教授
pp.768-776
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201706066
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鼻粘膜にも,表皮と同様,代表的なバリア機能関連タンパクであるフィラグリンが存在している。気管支粘膜では存在が確認されず,バリア機能タンパクの観点から考えると,上気道は下気道より皮膚に近い。低湿度環境では,表皮バリア機能が保たれている段階で,鼻粘膜上皮バリア機能は低下する。鼻の方がより敏感に環境変化に反応する可能性が推察される。花粉症患者では,鼻粘膜上皮バリア機能の低下がおこるが,初期療法や鼻噴霧用ステロイド薬単回投与により,花粉症患者鼻粘膜上皮バリア機能が改善する。バリア機能の制御は,種々の気道疾患および全身のアレルギー疾患の予防,先制医療に繋がる可能性が示唆される。