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はじめに
アレルギー性結膜疾患は「Ⅰ型アレルギー反応が関与している結膜炎で,何らかの自他覚症状を伴うものと」と定義され,増殖変化の有無,アトピー性皮膚炎の合併の有無,異物などによる機械的刺激の有無により,「アレルギー性結膜炎」「アトピー性角結膜炎」「春季カタル」「巨大乳頭結膜炎」の4つに大別される(表1)。アレルギー性結膜炎はさらに季節性,通年性に細分されるため,全体では5疾患に分類される1)。
アレルギー性結膜炎は,外来診療で最も多くみられる疾患の1つであり,とくに近年花粉症やアトピー性皮膚炎の増加とともに増えてきている。2006年に出されたアレルギー性結膜疾患診療ガイドラインでは,アレルギー性結膜炎は結膜に増殖性変化のみられないアレルギー性結膜疾患と定義される2)。症状が季節性のものを季節性アレルギー性結膜炎(seasonal allergic conjunctivitis:SAC)といい,そのなかでも花粉によって引き起こされるものは花粉性結膜炎とも呼ばれる。それに対し,季節あるいは気候の変化によって増悪・寛解があるものの,症状の発現が通年性のものを通年性アレルギー性結膜炎(perennial allergic conjunctivitis:PAC)と呼ぶ。他臓器のアレルギー疾患のなかではアレルギー性鼻炎との併発が多く,アレルギー性結膜炎患者の約70~80%に合併しているといわれる。
一方,アトピー性角結膜炎(atopic keratoconjunctivitis:AKC)は顔面にアトピー性皮膚炎を伴う患者に起こる慢性のアレルギー性結膜疾患であり,春季カタル(vernal keratoconjunctivitis:VKC)は結膜に増殖性変化がみられるアレルギー性結膜疾患である。また,巨大乳頭結膜炎(giant papillary conjunctivitis:GPC)は機械的刺激による上眼瞼結膜に増殖性変化を伴う結膜炎と定義される。
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