特集 季節性アレルギー性鼻炎と周辺疾患
Ⅸ.アレルギー性結膜炎の制御
福島敦樹
1
Atsuki Fukushima
1
1高知大学医学部眼科学講座教授
pp.78-85
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201601078
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アレルギー性結膜疾患はアレルギー性結膜炎,アトピー性角結膜炎,春季カタル,巨大乳頭結膜炎の4つのタイプに分類される。これら4つのタイプに共通する発症機序はⅠ型アレルギーであり,治療の基本はⅠ型アレルギーを抑制する抗アレルギー点眼薬である。春季カタルのような重症型ではⅠ型アレルギーよりも,むしろTh2応答が重要な役割を果たす。そのため,治療においてはTh2応答を抑制するステロイド点眼薬が用いられてきた。約10年前にシクロスポリン点眼薬が,続いてタクロリムス点眼薬が登場し,ステロイド点眼薬しか選択肢がなかった時代と比較し重症例の治療は格段に進歩した。一方,花粉性結膜炎に代表されるアレルギー性結膜炎に関しては,治療に対する患者満足度は決して高くない。最後に,将来的な治療展望も含め,経口免疫寛容によるアレルギー性結膜炎の制御について述べる。