特集 気道の炎症をめぐって
Ⅵ.気道分泌・粘液線毛輸送系の病態
長島哲理
1
,
新海正晴
2
Akimichi Nagashima
1
,
Masaharu Shinkai
2
1横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
2横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学准教授
pp.474-484
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201704052
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気道組織には数多くの微粒子やウイルス等を殺菌,排除する仕組みを備えており,その1つに気道分泌・粘液線毛輸送系による防御機構がある。気管支喘息の気道腔内では粘液過分泌や粘液粘稠度の増強,線毛輸送能の低下,粘液分解能の低下,気道内腔狭小化などの複合的な要素によって粘液栓が形成され,特にムチン蛋白や微小血管からの血漿蛋白質の増加が特徴的である。杯細胞の主要な発現ムチン遺伝子はMUC5ACで,IL-13の刺激によってIL-13RからJAK/STAT6,CLCA1の関与を介し,杯細胞過形成・化生や気道過分泌が引き起こされる。