特集 抗原学 最近の進歩
Ⅳ.経皮抗原:最近の進歩 1.マダニ咬傷,α-Gal感作に関連するアレルギー病態
千貫祐子
1
,
森田栄伸
2
Yuko Chinuki
1
,
Eishin Morita
2
1島根大学医学部皮膚科講師
2島根大学医学部皮膚科教授
pp.94-100
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201701094
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本邦における獣肉アレルギーの主要な原因抗原エピトープは,米国からの報告と同様,糖鎖galactose-α-1, 3-galactose(α-Gal)である。獣肉アレルギー患者は,交差反応のために,抗悪性腫瘍薬のセツキシマブやカレイ魚卵にもアレルギーを生じる。筆者らは,本邦における獣肉アレルギーの感作原因を解明する目的で,日本紅斑熱の媒介優勢種であるフタトゲチマダニの唾液腺を解析し,α-Galの存在を証明した。このことから,マダニ咬傷によって,マダニ唾液腺中のα-Gal含有蛋白質に対するIgE抗体が産生されて感作が成立し,獣肉アレルギーを発症することが示唆された。