特集 蕁麻疹の最新知見
コラム ②血管性浮腫とC1インヒビター
福永淳
1
Atsushi Fukunaga
1
1神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学分野講師
pp.980-984
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201607100
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血管性浮腫(angioedema:AE)は,深部真皮または皮下/粘膜下組織の限局性浮腫であり,顔面に好発するが,体のどこにでも生じうる。AEはヒスタミンを含む肥満細胞介在性AEとブラジキニン介在性AEに大きく分類できる。C1インヒビター(C1-INH)は補体系,カリクレイン・キニン系の主要インヒビターであり,C1-INHの遺伝的な欠損によって全身の様々な部位に突発的に浮腫が生じる疾患が遺伝性血管性浮腫(HAE)である。本邦でもHAEが浮腫,AEを生じる疾患として認識が広がりつつあるが,本邦での症例数は理論値より少なく診断がつかずに見逃されている症例もあると類推される。本稿では主に近年になり治療薬の進歩が目覚ましいHAEに焦点をあて,HAEの分類,診断,治療について解説する。