増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
2)凝固検査
A.検査法
(11)後天性インヒビター a)第VIII,第XI因子インヒビター
木下 忠俊
1
1帝京大学医学部第一内科
pp.238-241
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906523
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第VIII因子インヒビター
補充療法を受けている血友病患者の5〜10%に第VIII因子(F.VIII)インヒビターが生ずる.インヒビターはF.VIIIに対する同種抗体であり,それが生ずると,出血の頻度や症状に変わりはないが,投与したF.VIIIが不活性化されるので補充療法の効果が薄れ,止血が非常に困難になる.
血友病以外でも,まれに全身性エリテマトーデス(SLE)や慢性関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患,アレルギー疾患,癌や出産に伴って,また特に疾患を有しない高齢者に,自己抗体としてF.VIIIインヒビターが生ずることがある.F.VIII欠乏となって出血傾向が現れ,この場合も止血治療は困難である.
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