発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009052491
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
25歳女性(ブラジル人)。患者は嘔吐の繰り返しで受診となった。胃腸炎と診断され、制吐薬と整腸剤で軽快したものの、11日後に左側腹部痛で再受診、食事摂取困難と腹壁緊張を認めたため入院となった。所見では左側腹部から下腹部にかけて自発痛、圧痛、反跳痛が認められ、血算では炎症所見が認められた。X線では小腸ガス像がみられ、CTでは小腸・大腸壁の肥厚と骨盤腔内、肝周囲に腹水が確認された。以上より、本症例は骨盤内感染症と腸炎を疑い、絶食をはじめ補液、minocycline点滴を開始した。その結果、翌日には腹部症状は軽快し、経口摂取開始後1週間で退院となった。尚、腸管浮腫から膠原病疑いで精査したところ、CH50とC4の著明な低下がみられ、C1インアクチベータ活性も測定感度以下であった。問診により血管性浮腫と診断され、外来にてtranexamic acidの内服が行なわれたが、両側手足の浮腫と腹痛を認め、prednisolone内服とfexofenadine頓用に変更するも発作性浮腫が認められた。そこで、danazolの定時内服に変更し、以後は発作を認められなくなった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008