特集 最近の大気汚染とアレルギー疾患
II.環境汚染とアレルギー 5.花粉症と大気汚染
大久保公裕
1
,
村山貢司
2
Kimihiro Okubo
1
,
Koji Murayama
2
1日本医科大学大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学分野教授
2気象業務支援センター振興部専任主任技師
pp.1520-1526
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201410066
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花粉症は代表的な I 型アレルギー疾患で,現在日本では最も罹患人口の多い疾患の1つである。しかし花粉症と大気汚染の関係では実験的にその関与が証明されているが,実際のデータは少ない。今回スギ花粉飛散の現状と将来,そしてスギ花粉症の有病率と大気汚染の影響について検討した。その結果,SPM,SO2,NOx,Oxのいずれでもスギ花粉症との有病率には有意な関係がなかった。花粉症全体,さらに通年性アレルギー性鼻炎でも大気汚染との関係が見られなかったことは,少なくとも大気汚染物質がスギ花粉症の発症には関与している可能性が極めて小さいか,単独での関与が小さいことが考えられる。しかし花粉症症状に関しては大気汚染物質,環境微粒子による炎症の増加で,その悪化が予想される。