特集 気道アレルギー
大気汚染とアレルギー
牧野 荘平
1
,
宮本 昭正
1
1東京大学医学部物療内科
pp.701-712
発行日 1973年10月20日
Published Date 1973/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207969
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1人の人間が昼夜に呼吸する空気量は8,000〜12,000lにのぼり,鼻咽喉―気管―気管支―細気管支―胞肺の順に,その表面に接触する。大気中に飛散している花粉,カビ胞子は気道粘膜との接触を介して感作,さらに,アレルギー症状を惹き起こす。石油消費および自動車の増加に伴い,近年とみに,大気中のSO2,NO2,オキシダント,COなどの生物学的作用をもつた物質が増加した。これらの大気汚染物質が気道アレルギーの発症,症状の頻度および程度に影響を示すことが明らかになつている。
気管支喘息,アレルギー性鼻炎などの治療にたずさわつているものは,スモッグ発生の時に,眼刺激,咽頭痛,鼻炎症状,喘鳴,呼吸困難などの訴えが増加していると感じることが多い。事実,このような臨床家の印象を裏付ける多くの疫学的,臨床的,実験的報告が集まりつつある。
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