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特集 感染症薬の動態と耐性菌研究を基盤とした個別化医療の展望
2.抗菌薬耐性のメカニズムと臨床的インパクト
Mechanisms of antimicrobial resistance and its impact of clinical side
舘田一博
1
Tateda Kazuhiro
1
1東邦大学医学部微生物・感染症学講座 教授
キーワード:
抗菌薬耐性
,
β-ラクタマーゼ
,
市中感染型耐性菌
,
臨床的インパクト
Keyword:
抗菌薬耐性
,
β-ラクタマーゼ
,
市中感染型耐性菌
,
臨床的インパクト
pp.29-38
発行日 2017年3月25日
Published Date 2017/3/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201704029
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今日,ほとんどすべての病原体において薬剤耐性菌の出現が報告されている。特に最近では健康な宿主に感染を起こす市中感染型耐性菌の増加が問題となっている。市中感染型MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)はその代表であり,健康な子どもの皮膚感染症の原因菌として外来で分離されるようになっている。その他,基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(Extended spectrum β-lactamase:ESBL)を産生する腸内細菌科細菌が健常人の腸管の常在菌として市中に拡散している事実が確認されている。欧米では2000年以降,カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(Carbapenem-resistant enterobacteriaceae:CRE)の増加がみられていたが,2014年に国内初のCRE院内感染事例が報告された。CREの耐性機序としては,カルバペネム系薬を分解する酵素,特にメタロ-β-ラクタマーゼと呼ばれる酵素の産生が重要である。しかし,メタロ-β-ラクタマーゼ以外の酵素の産生によるCREも報告されており,その検出には注意が必要である。本稿では代表的な耐性菌の抗菌薬耐性のメカニズムの基本を整理するとともに,その臨床的インパクトについて概説する。