Japanese
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特集 消化管感染症の発症メカニズム
8.ロタウイルスの病原性
Virulence of rotavirus
津川毅
1
Tsugawa Takeshi
1
1札幌医科大学医学部小児科学講座 講師
キーワード:
ロタウイルス
,
病原性
,
下痢
,
遺伝子
Keyword:
ロタウイルス
,
病原性
,
下痢
,
遺伝子
pp.92-97
発行日 2016年8月25日
Published Date 2016/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201609092
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ロタウイルス胃腸炎は5歳未満の急性胃腸炎による入院の約半数を占め,重症度は他のウイルス性胃腸炎よりも高い。再感染は起こるが感染の反復により軽症化する。ウイルス粒子10~100個で感染が成立し,アルコール消毒にも抵抗性のため極めて感染力は強いが,通常は1週間程度で自然軽快する。下痢発症のメカニズムとして,① 小腸絨毛上皮細胞の破壊による吸収不良,② 腸管神経系の刺激やNSP4タンパクによる細胞透過性の亢進などが考えられている。11分節型二本鎖RNAウイルスであるロタウイルスにおいて病原性と関連する遺伝子として,VP7,VP4(中和抗原),VP6(細胞内中和抗原),NSP4(エンテロトキシン)などが知られている。