Japanese
English
特集 持続感染・潜伏感染の機序と病態
4.麻疹ウイルス感染と亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
Measles virus infection and subacute sclerosing panencephalitis(SSPE)
伊藤正恵
1
,
堀田博
2
Itoh Masae
1
,
Hotta Hak
2
1長浜バイオ大学バイオサイエンス学部 教授
2神戸大学大学院保健学研究科 特命教授/神戸大学 名誉教授
キーワード:
SSPE
,
麻疹
,
神経病原性
,
遅発性ウイルス感染症
,
ウイルス変異
Keyword:
SSPE
,
麻疹
,
神経病原性
,
遅発性ウイルス感染症
,
ウイルス変異
pp.56-64
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201509056
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亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)は変異麻疹ウイルス(SSPEウイルス)の脳内持続感染による致死性疾患である。麻疹完治後,平均約10年の潜伏期間を経て約10万人に1人の頻度で発症し,その機序は不明な点が多い。宿主側要因として,2歳以下での麻疹罹患による麻疹特異的細胞性免疫の低下,また,自然免疫や細胞性免疫が作動しにくい脳内環境があげられている。一方,ウイルス側要因では,膜融合を担うfusion(F)タンパク質の不安定化がウイルスの細胞融合能を増強して神経細胞への感染を可能とし,神経病原性を亢進させることが明らかになるなど,分子レベルでの解明が進みつつある。