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特集 薬剤トランスポーター研究の最新動向と化学療法剤の動態
7.ヒトトランスポーターの発現調節機構
Mechanism for the expression of human drug transporters
吉成浩一
1
Yoshinari Kouichi
1
1静岡県立大学薬学部衛生分子毒性学分野 教授
キーワード:
核内受容体
,
転写調節
,
薬物間相互作用
Keyword:
核内受容体
,
転写調節
,
薬物間相互作用
pp.91-100
発行日 2015年2月25日
Published Date 2015/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201503091
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トランスポーターの発現レベルは外的および内的要因により変動する。トランスポーターの発現変動は医薬品の治療効果や有害作用発現に影響し,また,薬物間相互作用を引き起こす可能性がある。近年,薬物代謝酵素の発現調節機構の研究成果をもとに,薬物によるトランスポーターの発現調節機構が明らかになってきた。その概要は,シトクロムP450をはじめとする薬物代謝酵素の調節機構と共通する部分が多く,薬物応答性の転写因子である核内受容体PXR(pregnane X receptor)およびCAR(constitutive androstane receptor)が中心的役割を果たしている。また,胆汁酸やビタミンDにより活性化される核内受容体FXR(farnesoid X receptor)およびVDR(vitamin D receptor)も寄与している。ヒトトランスポーターの中では,肝や腸管に高発現するABC(ATP〔アデノシン三リン酸〕-binding cassette)排出トランスポーターやOATP(organic anion transporting polypeptide)取り込みトランスポーターの発現制御機構の研究が進んでいる。本稿では,ヒトの薬物動態関連トランスポーターの発現調節機構を分子レベルで解説する。