Japanese
English
総説
ケラチノサイトにおける細胞特異的転写調節
Cell-Specific Transcriptional Regulation in Human Keratinocytes
石地 尚興
1
Takaoki ISHIJI
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, The Jikei University School of Medicine
キーワード:
ケラチノサイト
,
転写調節
,
ヒト乳頭腫ウイルス
Keyword:
ケラチノサイト
,
転写調節
,
ヒト乳頭腫ウイルス
pp.1073-1078
発行日 1992年12月1日
Published Date 1992/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900770
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ケラチノサイトにおける転写調節の研究は表皮細胞の分化,癌化のメカニズムの基本に迫るものである.また,遺伝子治療のターゲットとしてケラチノサイトを考えるとき,その細胞特異的転写調節の理解は必須のものである.最近ケラチン遺伝子等で研究が始められてはいるものの,肝細胞,リンパ系細胞等に比べてその研究は遅れている感は否めない.一方,ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)16型のupstreamregulatory region(URR)に見いだされたkeratinocyte-dependent enhancerは細胞遺伝子と比べれば単純であり,HPVによる発癌のみならずケラチノサイト特異的な転写調節のモデルとして恰好の材料である.このkeratinocyte-dependent enhancerはtranscriptional enhancer factor(TEF)−1などの細胞特異的因子やnuclear factor(NF)—Iなどの普遍的因子により複雑な調節を受けていると考えられ,その細胞特異的な転写調節のメカニズムは解き明かされつつある.
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