Japanese
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特集 薬剤トランスポーター研究の最新動向と化学療法剤の動態
2.消化管のトランスポーターと化学療法剤
Intestinal transporters and drug absorption
玉井郁巳
1
Tamai Ikumi
1
1金沢大学医薬保健研究域薬学系薬物動態学 教授
キーワード:
ペプチド輸送体(PEPT1)
,
有機アニオン輸送体(OATP2B1)
,
P-糖タンパク質(P-gp)
,
BCRP/薬物-飲食物間相互作用
Keyword:
ペプチド輸送体(PEPT1)
,
有機アニオン輸送体(OATP2B1)
,
P-糖タンパク質(P-gp)
,
BCRP/薬物-飲食物間相互作用
pp.40-49
発行日 2015年2月25日
Published Date 2015/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201503040
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消化管上皮細胞には栄養物摂取に働く多様なトランスポーター(輸送体)が存在するが,それらの中には医薬品を基質として誤認識するものがあり,その結果,基質となる医薬品の吸収を促進することになる。そのような輸送体としてペプチド輸送体(peptide transporter 1:PEPT1)や有機アニオン輸送体(organic anion transporting polypeptide 2B1:OATP2B1)の関与が明確にされてきているが,その他にも,有機カチオン,核酸,およびリン酸輸送系が関与する医薬品吸収が示唆されている。一方,細胞外への排出輸送活性を有するABC(ATP〔アデノシン三リン酸〕-binding cassette)輸送体のP-糖タンパク質(P-gp),BCRP(breast cancer resistance protein),ならびにMRP2(multidrug resistance associated protein 2)は,抗がん剤を含む多様な医薬品を消化管腔中に汲み出しており,その結果,基質医薬品の吸収抑制作用とともに,血中から代謝産物も含めた異物・不要物の管腔内へのクリアランスに働く。また,消化管は併用薬や飲食物が高濃度に曝露されているため,輸送体の薬物動態・作用への影響については,それらとの相互作用についても十分に考慮する必要がある。